「子どもの導き方-自分の反省から」えんちょうだより まんごの木

息子がインターに通い始めて初めて先生との面談がありました。お会いする先生から「明るく良い子ですね」と褒めて頂けるのですが、続けて学習に関しては「Organization からやり直さなければならない」との厳しいご指摘。要は、勉強に対しての取り組みが基礎からなっていないという事でした。父として何とかせねばと思い、早速話し合うことにしました。その頃の自分は陽明学を知り感動した矢先だったので「知行一致、知識と実践とは相伴い一体化する。つまり、強くこうしなければならぬと思えば行動は付いてくるもので、思いを強くすれば何でもできる」などと中学生相手に熱く語りました。なんて素晴らしい話が出来たと思い、これからの彼の生活態度の変化を待ちましたが、息子は一向に変わることなく楽し過ぎる学生生活を続けました。

これがきっかけになり、思春期の頃の自分を思い出しました。私は何事に対しても一生懸命取り組んで来たのですが、ここ一番の大勝負でいつも力を出し切る事が出来ませんでした。その原因は、未熟だった私の考え方です。一生懸命勉強したのは、他人に負けたくないとか、恥ずかしいとか、自分を大きく見るためだったので、頑張りすぎて最後は身動きが取れなくなり、失敗、挫折、自己否定に至り、それでも何とかやっと立ち直っても同じことの繰り返しで、何事も上手く行かず悩み苦しみました。自分の場合、強い意志の力で自分をコントロールすればするほど上手くいかず、逆にコントロールするのを諦め、自分の弱さやもろさを認め理解すると、不思議と上手くいくようになりました。

先生や親の役割も、子どもに対して強く厳しく自分の思い通りコントロールするよりも、今の状況を優しい目で捉えて分析し、出来ないことは少しでも前進しやすいように段取りを一緒に考えてあげる事なのではないかと思います。テニスの大坂なおみ選手のコーチが彼女を誉め勇気を与えて優勝まで成長させた様に、先を急ぐよりも今出来ることを一つ一つ丁寧に認め、自信をつけて育てることが一番の成長の早道だと思います。そのためにも私たちが自分自身を尊重し、温かく大きな心で大切な子どもたちに接していきたいものです。

2018年11月30日
園長 峯村敏弘