「ご入園、御進級おめでとうございます」えんちょうだより まんごの木

新しいイーズの1年が始まり、1 か月が経ちました。子どもたちを中心に保護者様、イーズのスタッフ一同で、更に更に元気に生き生きのびのび、思い切り楽しい一年にして行きましょう。どうぞよろしくお願い致します。

子どもたちは園生活の様々な場面で、時に少々戸惑いを覚える事もあると思います。ご家庭では「お母さんがついているから大丈夫」と言ってあげて下さい。「分からない事、困った事があったら何でも先生に聞いていいんだよ。」と伝えてあげて下さい。無理をする必要はありません。イーズは家庭生活と社会生活のちょうど中間の様な環境だと思って下さい。皆と一緒に出来る事はみんなでやりましょう。でも、頑張れないときは無理をせず、わがままを言っても良いのです。お母さんに甘えるように先生に甘えても良いのです。ゆっくりゆっくり自分のペースで楽しめるようになりましょう。

この冬日本に一時帰国した際、おいしいお豆腐を売っているお店があると聞き買いに行きました。店構えは少々年季が入っており、80歳台だと思しきおじいちゃんが、あかぎれの手で、冷たい水が張ったお風呂のような容器の底から、豆腐を一丁そっと大切にすくい上げてくれました。初めて行ったにも関わらず、お土産に油揚げもつけて頂きました。早速食べてみると、手作りの素朴な食感とともに、大豆の香りのするとても美味しいお豆腐で感動でした。きっとご主人の真っ赤な手と油揚げを頂いた事が 、その美味しさに拍車をかけたのでしょう。美味しさは舌だけで感じるものではなく、その時の環境や心情によって変化するのだと実感しました。

数年前に堀江貴文氏の「すし職人が何年も修行するのはバカ」という趣旨の発言を思い出しました。色々な論点があるでしょうが、私は一番大切な事はその職人がお客さんに、美味しいものを食べさせたい、喜んでもらいたい、笑顔を見たいと願って努力が出来るか否かに尽きると思います。何年厳しい修行しようが、その思いがない人が握ったすしはそれなりでしょうし、すし学校を出てすぐでもその思いがあれば成長は早いと思います。そのお客に対する思いと気遣いが、美味しさを何倍にでも増すことが出来ます。

教育の原点もここにあるように思います。生老病死、生まれて死んで行くまでの過程は誰も変わらない事ですが、その人生をどれだけ豊かに、有意義なものにしていくことが出来るのが教育の目的のように思います。そのためには、子どもに接する私たち教育者や親として、まずは自分の感性を豊かにする為にも、自分も相手も共に笑顔になれるよう日々行動することが大事だと思います。美しさや美味しさなどの体で感じるものだけではなく、他の人からの優しさや思いやりなどにも敏感に感じられる心の豊かさを持ち、自分自身も相手を思いやり、気遣い、いたわり、日々の生活を送りたいと思います。

2018年5月2日
園長 峯村敏弘