「幸せなら手をたたこう」

以前から園のリトミックのレッスンに参加し、論理的思考のきっかけ作りをしようと思っていました。年長組のレッスンが最後になると気が付き、参加させてもらうことにしました。「幸せなら手をたたこう」の歌を題材に、「幸せな時って、どんな時?」「どうして幸せなのかな?」そんな質問をし、子どもが自分の気持ちや考えに理由をつけて発言する機会を作ることを想定していました。

リトミックの途中で私がギターを持って登場すると、あり難いことに、子どもたちは大喜び。勢いに乗ってリズムを早くしたり遅くしたりして、盛り上がったところで「幸せな気持ちってどんな時?」とたずねてみました。するとA君「僕は不幸だ!!」思いもよらぬ回答に戸惑いながら「なんで不幸なのさ?」と聞くと、「だって卒園したら、イーズの先生やお友だちと一緒にいられなくなるよ。僕はお友だちや先生が大好きなんだ!」リトミックの先生と顔を見合わせて、もう感無量。涙腺崩壊寸前でした。他のお友だちも「先生大好き!お友だち大好き!」「みんなでいるのが幸せ」と口々に言ってくれました。小学校に行ってもいつでもこの園に戻っておいで、小学校でも楽しいこといっぱいあるよと伝え、次の曲をみんなで歌って大盛況のうちに終わりました。

この後もずっと胸がいっぱいのまま、いかに子どもたちの心が豊かに育っているかに気づきました。周りの大人やお友達を大好きという気持ちが、相手を思いやり大切にする愛情に繋がるのですね。この子たちはそんな愛情を自然に表現出来る人間に成長出来ています。先生方や親御さんが日々、愛情を持って子どもと接していることがこの豊かな心を育てた証です。論理的思考の力をつけることを目論んでいた自分が恥ずかしくなりました。技術の発展に伴い、将来人間が必要でなくなる仕事が増えていくと言われる世の中、人として最後まで必要な力として残るものは心の豊かさなのでしょう。