自分の命に代えても守りたい命

東京目黒区で実の両親による虐待殺人事件が起こりました。この話を聞いた時、私は心臓がバクバクし、いてもたっても居られない不安と寂しさを感じました。勿論この犯人の両親が悪いに決まっています。しかし、それだけで片付けられない、心にとても重い物を乗せられた様な気持ちになりました。以前、私も息子を強く叱った事があります。一度、叩いた事もあります。自分が息子を叱った時、自分の駄目さが子どもから見えたからでした。

「だからお前は駄目なんだ!何でそれが出来ないんだ!」

過去の自分に対する怒りが息子に投影されていたのだと思います。

「お父さん、なんで今日はそんなに怒るの?」

と言う息子の言葉に我に帰りました。その時の息子の悲しそうな目はずっと忘れる事ができません。何かのタイミングと巡り合わせが悪かったら、自分もこのお父さんの様に怒りを子どもにぶつけていたかもしれません。

自分の命に代えても守りたい子どもの命。どんな親も共通に持つ本能的な思いだと思います。大抵の場合、虐待にまで行く前に何らかの歯止めがかかります。その両親も我に帰る機会はたくさんあったと思います。何故ここまで歯車が壊れてしまったのでしょうか? この両親の心と頭を狂わせてしまったものは、日本の社会全体だった様な気がします。自分たち一つ一つの身勝手な行動が社会の歯車を壊し、それが大きな流れとなり正常に動いていた筈の歯車まで破壊してしまう。今、自分たちに出来る事は、自分の襟を正し、現状を受け入れ、それが自分の思いと合致しようとしまいと、正しいと思える行動を取って行くしかないと思います。大切なものを大切にし、嬉しい事をされたら「ありがとう」と言い、自分が悪いと思ったらすぐに謝りましょう。愛するものにその気持ちを伝えましょう。もう一度子どもの時に教えられた事を一つ一つ実行しましょう。命に代えても守りたい子どもたちの命のために。二度とこんな悲しい事件が起こらないために。