スイッチの入れ方

50歳を過ぎてから、毎朝ラジオ体操を日課にしています。前日に遅くなった日など、どこからか「一日くらいサボろうか」という誘惑の声が聞こえてきます。そうです、一日くらい欠かしたところで何の変化もないのです。しかし、ここで誘惑に負けてしまうと、翌日もまた次の日もしかり。元来、私は怠け者なので簡単に安きに流れるのは得意技です。ここで、だらだらした体操でもいいからとハードルを下げて重い腰を上げ、体操すると摩訶不思議。何だか気分が良くなり、その後ストレッチやスローランニングまで出来ます。初めから、体操→ストレッチ→スローランニングのメニューをこなそうと思うと、めげてしまいますが、初めのハードルを下げることによって自分自身を誘導することができます。ラジオ体操自体を一日休まないことよりも体を動かそうとするスイッチを入れることに意味があると思います。

子どもの学習についても同じことがいえます。子どものやる気スイッチをどう入れるかは常に指導する側や親を悩ませますが、私が長年受験指導をした経験から見つけた原則は「やりたくてやった体験や知識は忘れ難く、応用力が効く」です。逆に、「嫌々やった体験や知識は忘れ易く応用力が効かない」です。ですから、嫌々勉強するくらいならしない方がましです。先ずは簡単にこなせるものから始めるのがいいと思います。毎日の漢字や計算問題はその為にあるように思います。「やりなさい!」と頭ごなしに言うよりも、子どもが興味を持つような取り組み方を模索して下さい。例えば、漢字の成り立ちや熟語の意味や使い方を子どもに「これ知ってる?」と質問したりして、一緒に漢字に取り組んでみて下さい。そのうちに学習の面白さを見つけ出し、自ら取り組みます。よくあるご質問に「いつになったら自分から出来ますか?」と聞かれます。私の息子は大学4年生になってやっと興味のある分野の学問を見つけ、勉強し始めました。親元を離れ「勉強しなさい。」と言われなくなって4年目です。自分で興味を持って取り組んだら、後は自然にスイッチが入るものです。