先生の仕事

担当の先生の体調不良により急遽小学4年生の算数の授業をお願いされました。久しぶりではあるものの、何十年もやってきた事なので準備なんてしなくても問題無く善い授業が出来る自信はありました。勿論、楽しく要点はしっかりと伝わるように盛り上がりながらも節度を保った授業になるはずでした。しかし、教科書を見るのにはメガネがいるし、板書する時や子供の顔を見る為にはメガネは外さなければなりません。その度ごとにかけたり外したり。そっと子どもの顔を確認することも、数字を確認する事もできません。子どもがどれだけわかって居るのか表情を確認する事もできないという事です。良い汗がかけるはずが冷や汗だらけで終了しました。落胆しながら、帰り際に隣の新人の先生の授業を窓越しに見学しました。素晴らしい授業をやっていました。子供達も楽しそうで集中していました。時間の流れを実感しました。子どもたちにとって、ベテランの先生の授業よりもどうしたら子どもたちに解ってもらえるかを真剣に試行錯誤した新人の授業の方がわかりやすいのだと思います。ベテランの先生は何通りもの解き方を知っています。どんな質問がきても的確に答えられます。しかし、授業そのものは子どもの立場に立ってしっかりと準備した授業の方が解りやすいし魅力的なのです。

コロナ禍によって授業の形態も多様化して来ています。以前はリモートの授業などは認められませんでしたが、最近では一つの形態として確立しつつあります。インターネットの環境も良くなりフリーズする事もかなり少なくなった事も要因の一つだとは思いますが、コロナ禍の緊急事態に今まではダメだと思い込んでいた方法でも仕方なくやってみたら案外、上手く行った事の一例です。

人や環境は常に変化しています。先生は自分がやっていることが子どもたちにとってベストであるかどうかを常に自分に問いかけるべきなのです。より善いものを求めて動き続けなければなりません。常に子どもたちを観察し、何が必要なのかを考えて実行することが先生の仕事なのでしょう。自分自身もっと試行錯誤し子供達の笑顔のために動き続けたいと思います。