居てくれるだけでいいんだよ(存在への感謝)

息子がインターナショナルスクールに通い始めた頃の話です。いつもは父親に電話などして来ない息子からの着信履歴がありました。何かあったのだと思い直ぐにメッセージを送りました。しかし、返事がない。何度も送りました。やはり、返事がない。授業の時間が終わったので、電話をかけても出ない。

そういえばと思い出したことは、上級生に暴力的なやつがいて、少々揉めている話をしていた事でした。頭の中では、ドラマに出てくる様な体育館裏でボコボコにされているシーンです。慌てて学校に向かいました。着いた途端、日本人の友達が居たので尋ねると、体育館裏の運動場に行ったよ。と教えてくれました。やっぱり!これは大変と思い走ってそこに向かいました。そこには‥‥。

楽しそうに友達とサッカーをやっている息子の姿。「あれ、お父さん。何しに来たの?」安心と自分への落胆とが入り混じった気持ちになり、暫く呆然としていました。普段は、勉強のこと、生活態度のことなど、言いたい事が沢山ありました。しかし、その日だけは、元気で怪我のないことだけを必死に祈りました。

息子の存在は、自分にとってかけがえの無いものであり存在自体が自分の幸福である事に気付かされました。 子どもは、その存在だけを喜び感謝する事によって、明らかに変わってきます。多分、親自身の態度や言葉が変わってくるからなのでしょう。

今のそのままで十分、大切な素晴らしい存在であることが伝わると、子どもには「自分はこんなもんじゃない」という自己肯定感と自分の可能性に対する欲求が生まれてくる様です。

元々、自分を高めたい欲求はみんなが持っているものです。それを無理に引き出そうとして、友達と比較したり、親や先生が勝手に高めの目標を設定したりして無理にやる気を出そうとすると、不安な気持ちだけが記憶に残り、自らの向上心に火がつきにくくなるのです。

親としては、いつも「居てくれてありがとう」の気持ちを忘れずに居たいものです。実はそれが最も子どもをやる気にし、成績が上がる秘訣なのです。

峯村太郎 Instagram: branchpointcounselor
峯村敏弘 はてなブログ:eisminemura
※昨年分の文章もブログに上げましたので、よろしければ読んでください。

2022年7月29日
園長 峯村敏弘