「反抗期」えんちょうだより まんごの木

お子様を EIS に通わせて頂き誠にありがとうございます。心からお礼を申し上げます。給食再開につきまして皆さまから沢山のご意見を賜りまして、厚く御礼申し上げます。不安と迷いもありましたが、子どもたちのおいしそうに喜んで食べている姿を見て、再開して本当に良かったと思います。しかし、その反面このようなことが二度とおきない様に、常に今の気持ちを忘れず、細心の注意を払い、今回決めたことを職員一同がきちんと守っていく体制を作っていく所存です。今後とも、倍旧のご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

しばらく時間が空いてしまったマンゴの木を再開したいと思います。これはシンガライフ2018年12月号から2019年2月号までに書いたものをイーズ用に書き直したものです。どうぞお気軽にお読みください。

反抗期(第一反抗期)

頑固さが顕著に表れるのが反抗期です。幼稚園で表れるのが第一反抗期と呼ばれているもので、何でも「いやだ、いや少しそうすると自分でも訳が分からなくなり、暴れて手が付けられないこともあります。「じゃあ、どうしたら気が済むの?!」お母さんも怒り爆発。親子ともども途方に暮れてしまいます。

何が原因でそうなるのでしょう?子どもに聞いても答えは返ってきません。何故なら子ども自身、何故だかわからないからなのです。むかつきホルモン(わかりやすいので私はそう呼んでいます)が体内で分泌され、何に対してもむかつき、誰に対しても素直に話が聞けないのです。

原因は「不安」です。できない事が当たり前でお母さんに全部頼っていた少し前の自分から、今は自我が発達してきて、できない自分を認めるのが嫌だし、失敗するのが不安なのです。お母さんにやらせて貰えない、でも自分でやっても上手くいかない。混沌とした未知なる世界に対する不安で仕方ないのです。その不安な気持ちが導き出す嫌な気持ちを自分で受け止められず、全部お母さんのせいにし吐き出すのです。ですから、対処方法は上から教えるのでも、叱るのでもなく、同じ目線で寄り添いサポートしてあげてください。

そんなに子どもを甘やかすべきではない。きちんとしつけるべきだというご意見もありますが、それは反抗期でない時には必要なこともあると思います。反抗期は子ども自身が一番苦しんでいると思って、そっと寄り添って助けてあげて下さい。子どもはお母さんに認められたいのです。だからこそ、折り合いのつかない自分に手を焼いているのです。

失敗した部分ではなく、「この前よりも上手くできたね」と出来るようになった部分、成長した部分に注目して褒めてあげてください。嬉しいことを見つけるとお母さんも楽しい気持ちになれます。

注意すべきことは「自分の身体に危険なこと、健康に害すること、他人に対して失礼なこと」をした時だけです。それ以外は少々目に余ることをやっても見逃しましょう。特に時間的なことで追われることは避けましょう。計画の時点で余裕を持つか、子どもの気持ちが乗らない時は思い切って次の予定は中止してしまうくらいでいいと思います。お母さん自身がゆったりとした気分でいることが何より大切なのです。

反抗期(第二反抗期)

小学校高学年から中学生の思春期に表れるのが第二反抗期と呼ばれている扱いにくい時期です。基本的には第一反抗期とおなじで、不安が原因なのですが厄介なのは体が大きいこと、ひどい言葉のボキャブラリーが多いこと、何よりも不安の原因が複雑であることです。第一反抗期は親と自分だけの世界での事だったのですが、今度は自分自身と自分が生きている社会全体との中から生まれてくる不安だからです。学校でクラブ活動などが始まると、友達関係だけでなく先輩後輩の関係も生まれてきます。親の言うことは聞かなくても、先輩の不条理な事には従わなければならない場面が出てきます。

ずるいことはいけない、いじめはいけないと言われていても、実際には目にする場面がたくさんあります。先生に相談しても、以前の様に絶対的な力で正してくれない。それどころか先生や親の言っていることも矛盾だらけで信用することができない。そんな矛盾からくる不安をいっぱいに抱えてしまうのでしょう。自分自身も理想の自分と現実の自分の不甲斐なさをたくさんの場面で目の当たりにしてしまうのです。こうなるとむかつきホルモンが最大限に発揮され、反抗的な行動になってしまうのです。

反抗期を迎えた子どもは大きな不安を抱え自分自身で処理しきれず困っているのです。言葉や態度、体格は大人に見えても心の中はまだまだ子供なのです。そして、一番苦しんでいるのは本人です。急に大きくなって行く体、覚えたてのひどい言葉を使ってみたら想像以上に変化していく周りの状況。そんなに強い意味で言ってはいないのにめちゃくちゃに怒られて見放されて行く状況に周りに対して寂しさを感じ、不信も生まれてしまいます。どんどん殻に閉じこもり始め、「悪いのは全て周りの大人たちで自分は常に正しい」と思い始めるのです。不安がいっぱいの中で自分を守ろうとします。最大の防御は攻撃です。そして手が付けられなと思えるような状況になって行くのです。

「子どもは親が言った通りにはなりません。親のする通りになるのです」反抗期においても、この原則は変わりません。長い間、手塩にかけて育ててきた我が子から急に「くそババア―!」「うるせー」などと反抗的な言葉を投げかけられると、親だってとても傷つきます。更に悲しいことに、自分だけを頼りにしてくれていたかつての可愛い我が子の姿はどこにもないのです。

攻撃的な言葉を発する子どもに対抗し、先ずは、ふっと息を吐きましょう。怒ってしまった後でもいいです。ふっと息を吐きましょう。この攻撃的な言葉は「助けて」「大丈夫と言って」と言いうことなのです。不安で悲しいけど、本心は出せないので裏返しにこんな言葉になっているのです。

次に子どもの不安を取り除く方法は、「きちんと話を聞くこと」です。自分勝手なことを言っていると思っても決して口を挟んではいけません。思春期の子どもは、全て自分が正しいという思考回路に陥っており、理不尽な話も多いものですが、冷静にきちんと相槌を打って聞いてあげてください。そうすると自分の意見は認めたられたと思って安心し、「みんなが悪い」から「分かってくれないから悪い」に変わってきます。

この時、親は何かを正すのではなく、子どもの不安や怒り、寂しさなど、心に溜まっていたものを吐き出させることに専念してください。そして、子どもが不安を出し切れたら「そしたら、どうしたらいいと思う?」と自分から答えを出すように導いてください。出来る事は協力するし、出来ない事は明確な理由を付けて出来ない旨を伝えるだけです。

子どもは両親の姿を見て、育っていきます。すぐにはなかなか話そうとしない子どもでも、親が心を開いていれば、愛していることを伝え続ければ、重い口も少しずつ開かれます。かけがえのない自分の大切な子どもです。この反抗期、親にとっても子どもにとっても精神的に共に乗り越え、成長するべき一番大切な時期なのです。

2019 年 2 月 1 日
峯村敏弘