「素直になろうよ1」えんちょうだより まんごの木

私は長年素直な人間だと思っていました。自分が怒る時は「不条理な事をされた時だけで自分勝手に怒ることは無い」と考えていたからです。つまり僕が怒る時は正当な理由があり、相手が常識はずれな行動や発言をするから怒るのだ、とずっとそう思っていました。

子どもがまだ小さかった頃の事です。妻が子どもを連れて友人たちと旅行に出かける事になり、楽しそうに計画を立てていました。計画の途中で日数がだんだんと伸びて行くのです。最初は、「三泊四日ぐらいの旅行じゃあもったいないね。もっと長く楽しんで来たら」なんて余裕を持って言っていました。すると、
「じゃあ折角だからあそこも行って来る。広島のおじいさんの実家にも寄って」
「ハイハイ」
「やっぱりもう三日伸ばして・・・」
徐々に納得のいかない怒りがふつふつと湧いてきて、
「そんなに長く!!!!2週間じゃないか、そんなどんどん長くなるなんておかしいよ」
「私の喜びを一緒に喜べないの?」と言われて結局、大喧嘩をして仲直りする前に出かけて行きました。

本当は素直な考え方がいつも出来たら、怒る必要も怖がる必要も無いと思います。いつも幸せいっぱいに生きられるのでしょう。何故なら怒りは「分かって貰えない」という寂しさと不安の裏返しの感情で、その不安や寂しさを素直に言えないと怒りの感情となって現れるからです。自分の気持ちを素直に受け止め、それを素直に表現出来れば、怒る事も怖がる必要も無く、解決の糸口を見つけることが優先されるのです。しかし、何故だか素直になれないのです。「そんなに長く家を開けられたら困る」「子どもだってかわいそうだ」等ともっともらしいことを言いますが、自分の本心は「そんなに放っておかれたら寂しい」なのです。でもそれを言うと恥ずかしいし、悔しいし、負けた様な気持ちになり、とても言えないのです。

もっと素直に自分の気持ちと向かい合えたら良いですね。何でも素直に言えたら人間関係ももっとうまく行くのにと思います。自分の悪い癖は寂しいときに限って強がりを言い、自分を強く見せようとします。誰かに怒りの感情を持った時、それは自分自身が素直に考えられていない、素直に表現できていない事に気付き、認めることから改善の道を探りたいと思います。

2017年6月28日
園長 峯村敏弘