憎み切れないろくでなし(行動が脳をコントロールする)

「さーさー、はったはった。はって悪いは親父の頭、はらなきゃ食えぬ提灯屋」学生のころから「寅さん」の映画を見るのは大好きでしたが、何故かいつも彼のキャラクターには釈然としませんでした。寅さんのいい加減で無責任な発言と行動により問題を巻き起こし周りに迷惑をかけるにもかかわらず、慕われたり、愛されたり、会いたくなる人がたくさんいる。その不条理さを素直に受け入れられないものでしたが、歳を重ねるにつれ、やっと理解できるようになりました。結局は人間として表面的な小さい部分はどうでもよく、肝心なものは根底に流れる優しさや思いやりではないでしょうか?寅さんから「大切なものはこころだよ」と言われているような気持になり、映画を観た後は大きく豊かな気分になります。

寅さんは思った通りに即行動します。困っている人がいたら助け、悲しんでいる人がいたら慰め、結果として大騒動を巻き起こします。しかし、後先のことを考えずに行動するからこそ、周りには寅さんの熱い愛情が伝わるのだと思います。先日「行動が脳をコントロールする」という話を聞きました。武道で試合の前に礼をするのも、まず相手に尊敬を払うことで自分自身が反則を犯すのを防ぐためだそうです。脳は放っておくとネガティブな方向に向かうので、それを行動によりコントロールするそうです。自分も毎朝決まった行動がありますが、それ行うと気持ちが落ち着いて一日をスムーズに過ごすことができます。時々、「今日は疲れたからやめておこう」とか「時間がないから」など言い訳に負けそうになりますが、その気持ちを一旦無視し、行動をまず取ることにより1日が気持ちよく過ごせます。

自分の思ったような自分になることは簡単ではありません。自分を高く評価しすぎてもわがままで傲慢になるだけだし、自己肯定感が低ければ何事も成すことはできないでしょう。ネガティブな自分と折り合いをつけてうまくコントロールするためには、自分がうまく動けるコツをつかみ、先ずは行動してしまうことなのだと思います。気が滅入ったり、なかなか答えが見つからなかったりする時は「寅さん」の原点に限ります。