数か月前、慣れ親しんだセントーサ校を引っ越さなくてはならなくなり、2020年3月には引っ越しを完了させなければなくなりました。みなさんもご存知でしょうが、引っ越しは大変な作業です。幼稚園が引越をする際の一番の課題は、子どもたちにどれだけ素晴らしい環境をもう一度、作ってあげられるかです。そのために、連日打ち合わせを重ね、準備万端に整えようとしてきました。しかし、何か足りないのではないかと常に不安が付き纏います。
そんな不安な気持ちでいると、つい文句ばかり出て挫けそうになります。それでも、じっとしているわけにはいかないので、いろいろな物件を片端から内見し、やっと見つけた物件の契約を行いました。スケルトン状態で引き渡された現場に何度も足を運んでは、危険はないか、登園した時の子どもの流れはスムーズにいくか、床の素材、壁の色、光の取り込み具合、トイレの使い勝手といった要素を一つ一つ潰していきます。そして、目を閉じて子どもたちが遊ぶ光景を想像します。そうすると不思議なもので、色々と楽しい事が見えてきます。この原っぱでは思い切り子どもたちが走れるし、ボールも蹴れる。この体育館ではこんな遊具があったら面白そうだなと。すると不安がどんどん期待と喜びに置き替わり、過去と未来の子どもたちが自分の心にエネルギーを与えてくれるのが分かります。
不安や不満、或いは怒りの視線で物事を見ていると、幸せの種は見つけにくくなるのだと思います。どんな状況でも、与えられたことに喜びと感謝の気持ちを持ってみると素晴らしい宝物が見えてきます。私にとって宝物とは、「子どもたちとどれだけ楽しめるか」や与えられた人、物、場所を精一杯生かし、その中で「みんなの笑顔を見ること」です。それを具体的に考えていくと、自分一人では出来ない事ばかりだと気づかされます。先生方と協力しながら作り上げようとすると出来そうな事が広がります。苦しみや不安の世界から抜け出す方法は、みんなで幸せになる想像をすることなのでしょう。皆さんも宝物を見つけてみませんか?