笑顔になれるほめ方

「一人で何でもやるからぼけずにいられるんだよ」東京で一人暮らしを続けている母は今年米寿を迎えます。気丈な母もさすがに最近は弱気な部分も見える時があります。なので、先日、一緒に食事をする時に初めて味噌汁を作ってあげました。母はどんな味になるか心配だったのでしょう。ひと口味を見た瞬間に「あら、美味しいじゃない。私が作るより美味しいよ」。60歳になって初めて味噌汁を褒められる珍しい経験だったので嬉しくなりました。

子どもの教育において、「ほめる教育」「ほめない教育」どちらが良いのかが書かれている本やコラムをよく目にします。どれも言い分はそれぞれに正しいと思います。いつもほめずに叱ったり、改善点を指摘したり、ばかりだと子どもはやる気が出ないだけで無く自信をなくしてしまいます。また、なんでもほめ過ぎるとほめられないと何もしない子どもになりやすいのかもしれません。

しかし、その結果を生み出すのは、ほめるか、ほめないかでは無く、ほめる側の気持ちにあるのではないでしょうか?ほめる時の気持ちを考えてみると、評価の気持ちと感動の気持ちがある様に思います。これは完全に分離できず、双方の度合いの強さが有ります。子どもにとって評価の気持ちが強いほめ方はあまり良くないのでしょう。ほめられる事は高い評価と認識し、もっとほめられたくなります。逆に喜びの度合が強い場合は素直に嬉しく幸せな気持ちになるのだと思います。

子どもをほめる時には素晴らしさに感動した言葉や態度によって、子どもは心の豊かさや自己肯定感が育まれるのです。ですから良いほめかたをするためには大人側が感性を豊かにし幸せや喜びをいっぱいに感じられる様になる必要があります。「子どもは親の言った様にはならない。やったようになる。」その事の証明の様にも思います。花を見て、夕陽を見て「あー綺麗だな」美味しいものを食べて「あー美味しい」身近な人に対して「有難う」そんな「幸せを一杯に感じる心」を自分自身が育くまれる事がほめる達人になるコツだと思いました。